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岡崎「京ア゛ニ゛?」part2



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45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:05:06.63


朋也「俺に嘘なんてつくなっ」

渚「ごめんなさいです…」

渚「実は学校を出てから、熱っぽかったです…」

朋也「馬鹿…早く言ってくれ…」

渚「ごめんなさいです…」

朋也「もう、いいから…」

朋也「帰ろうな」

俺は渚の脇に腕を回して、歩き始めた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――古河家 廊下

朋也「どうでしたか、早苗さん」

早苗「大丈夫ですよ。落ち着いてください」

朋也「すみません…俺が無理させすぎたかもしれないです」

早苗「そんなに恐縮しないでください。自分の彼女じゃないですか」

朋也「え…知ってたんですか」

早苗「わかりますよ、それぐらい。自分の娘ですから」


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:05:50.28


朋也「至らない彼氏っす」

早苗「そんなことないですよ」

早苗「岡崎さん」

朋也「はい」

早苗「朋也さんとお呼びしていいですか」

ますます渚に似てきた。まぁ、渚は『くん』だけど。

朋也「ええ、そうしてください」

早苗「では、朋也さん」

朋也「はい」

早苗「渚はこんなふうに体が弱い子ですが…末永くお付き合いください。よろしくお願いします」

朋也「いえ、こちらこそお願いしたいくらいです。嫌われないようにしないと…」

早苗「大丈夫ですよ。何かあったときは力になります」

朋也「それは頼もしいです」

早苗「朋也さんも疲れたでしょう。渚のことはわたしに任せて、休んでください」

朋也「一日中遊んでおいて、面目ないです」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:07:20.79


早苗「いいえ」

朋也「それじゃ、お言葉に甘えさせていただきます」

早苗「はいっ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

6月3日火曜
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――古河家 廊下

翌朝。
結局渚の熱は下がらず、学校を欠席することになる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――渚自室

朋也「いってくるからな、渚」

寝込んだままの渚に声をかける。

渚「はい、いってらっしゃいです」

顔だけこちらに向けて、笑顔で送ってくれる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――廊下

廊下に戻ると、お粥を載せた盆を持って、オッサンが立っていた。

秋生「てめぇらは新婚夫婦かっ」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:08:03.76


今のやり取りを聞かれていたようだ。

秋生「ちっ、自分たちだけ楽しみやがって、俺と早苗も新婚生活に戻せ、この野郎」

朋也「無理です」

秋生「わかってるよ、馬鹿っ。俺と早苗はアツアツだからいいんだよ。この野郎」

朋也「なら、言うな」

秋生「けっ…てめぇと話してたら、渚の朝食が冷めちまう。とっとと行け、この野郎」

朋也「言われなくても、行くよ」

秋生「こら待て、両手ふさがってるんだから、おまえが開けねぇと入れないだろ、この野郎」

今のうちに一発殴っておこうかと思う。

秋生「ちなみに日中は渚と話をするからな、妬くんじゃねぇぞ、この野郎」

朋也「なんの話だ」

秋生「家族の話だよ。これだけはてめぇに任せておけねぇからな。しばくぞ、この野郎」

朋也「ああ、いい。任せるよ」

この家族ならば、できてしまった溝だって、簡単に埋まってしまうのだろう。
そう思いながら、その場を後にした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:08:47.41


6月4日水曜
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

翌朝も渚の熱は下がらなかった。
しかし俺にできることは何ひとつなく、学校に行くしかなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――古河家 廊下

昼の間に、かかりつけの医者も来たらしい。
でも熱を下げる手だてはなく、ただ、安静にして様子見する他ない、ということだった。
ずっと、早苗さんの看病が続く。
俺はその合間を見て、渚に会いに行くだけだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――渚自室

渚「今日も休んでしまいました」

朋也「いいんだよ。よくなるまで、休んでいればいい」

渚「学校は、楽しかったですか」

朋也「楽しかねぇよ」

渚「どうしてですか」

朋也「おまえがいないからだよ」

渚「すみません…」

渚「でも、うれしいです。そう言ってもらえると」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:10:56.82


朋也「俺、ずっと待ってたんだ」

渚「なにをですか」

朋也「バスケとかやってさ…」

朋也「創立者際に向けて演劇頑張ったりさ…」

朋也「俺、あの頃からおまえが好きだった」

渚「はい」

朋也「それで、やっと、付き合ってるふたりっぽく、学校で過ごせると思ったんだ」

朋也「そういう生活を待ってたんだ」

渚「すみません…」

朋也「そういうのって、学校生活の醍醐味だと思わないか」

渚「思います」

朋也「本当に、そう思うか」

渚「え? どうしてですか?」

朋也「だって、おまえ、そういうこと全然意識してくれないからさ」

渚「そ、そうでしょうか…」





57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:11:45.40


朋也「おまえ、子供だからなぁ」

渚「そんなことないです」

渚「わたし、朋也くんより年上です」

朋也「いや、歳は関係ないだろ」

渚「でも、ちゃんとわたしだって、そういうことしたいです」

渚「学校や、いろんなところで、朋也くんとそういうことしたいです」

朋也「そういうことって…?」

渚「その…並んで歩いて…お話したりです」

朋也「それって、いつもしてるような気がするんだけど」

渚「あ、そうかもしれないです…じゃあ…」

渚「手をつないで、歩きます」

朋也「…よし」

朋也「じゃあ、早くよくなって、そうしようぜ」

朋也「俺、それ期待して、待ってるからさ」

渚「はい、わかりました」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:13:19.08


野球難しそうwwww俺じゃ無理wwwwwwwwwww

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一週間が過ぎても、二週間が過ぎても、渚は学校には行けなかった。
ずっと、下がりそうで下がらない微熱が続いていた。
その間に、いろんな奴らが見舞いに来てくれた。
演劇部のメンバーに、SOS団や、軽音部の連中…
田井中たちは、なにを思ったのか、新入部員である中野梓という子まで連れてきていた。
それに、直接渚とは関わりのない宮沢まで、見舞いに来てくれた。
田井中たちから渚のことを聞いたのだという。
見舞いに来てくれる連中の好意を受け取った渚は、一度無理して登校しようとしたが、立って歩いただけで、熱が上がってしまった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

6月が終わり、梅雨が明けて…
7月が来て、夏休みに入って…
それでも、渚は部屋の中にいた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――渚自室

渚「朋也くん…」

朋也「なんだ、渚」

渚「夏休みです」

朋也「そうだな、夏休みだな」

渚「わたしに構わないで、遊んできてください」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:14:55.54


朋也「いいんだよ、ここに居させてくれ」

渚「こんなところに居ても、退屈です」

朋也「退屈じゃない。こうして話できるだろ」

渚「そんな夏休みってないです。楽しい思い出もできないです」

朋也「楽しいんだよ、これで」

渚「でも、もう話す話題もないです」

渚「わたしは寝てるだけですから…」

朋也「いいんだよ、話すことなんてなくても」

朋也「俺は期待して待ってる、それを思うだけで楽しいんだよ」

渚「何をですか」

朋也「おまえと手をつないで歩ける日をだよ」

渚「………」

渚「他の人ひとと…」

朋也「…ん?」

渚「他のひとと手をつないで歩いてくれても…わたしは構わないです」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:15:54.85


ゾリオンwwwwwwww更に難易度上がったwwww無理wwww

朋也「馬鹿っ、怒るぞ」

渚「だって、こんなわたしが彼女ではおもしろくないです」

渚「朋也くんが、かわいそうです…」

朋也「おまえ、俺を振る気かよ…」

朋也「俺はおまえのこと好きなのに、おまえは違う人を探せって俺に言うのかよ…」

渚「言いたくないです…」

渚「わたしも、朋也くんのこと好きですから…」

朋也「なら、言うな、馬鹿…」

渚「はい…」

朋也「二度と言うなよ…」

渚「はい…わかりました」

渚「………」

渚「朋也くん」

朋也「ああ、なんだ」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:16:55.11


渚「手、つないでくれますか」

渚「歩くことはできないですけど…」

朋也「ああ、いいよ」

渚が、細く白い腕を上げる。
俺はその手のひらを自分の両手で強く握った。

渚「………」

朋也「疲れたろ、眠るか」

渚「はい、そうします」

朋也「ああ、そうしろ」

渚が目を閉じる。
じわっと、押し出された涙が零れた。
せめて…夢の中では、ふたりで歩けますように。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

二学期が始まった。
学校では、皆、来春の自分を見据えて、脇目も振らず勉強していた。
休み時間になっても、机を離れず、参考書に向かっていた。
そんな中、俺だけは、渚のことを考えていた。
あいつが今年学校に居たのは、たった一ヶ月だけだ。
その短い間に、俺はあいつと出会って、ひとつの目標に向かって頑張って…


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:17:43.15


俺が三年かかっても、できなかったことをやり遂げた。
そして、俺はあいつのことを好きになっていた。
最初は自分を支えてくれる存在として、必要とした。
でも、今はただ、好きなだけだった。
一緒に同じ時間を過ごしたい。
それだけだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――学校 廊下

不良とダブりの組み合わせとか、後ろ指さされたっていい。
校内をふたりで歩きたかった。
今は、それだけが俺の望みだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

残暑の厳しい9月が終わり、秋の気配が近づく頃。
俺はオッサンに呼び出され、古河家の話し合いの場に会すことになる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――古河家 居間

秋生「まぁ、てめぇには言っておいたほうがいいと思ってな」

オッサンはそれだけを言って、頬杖をついてそっぽを向く。

早苗「朋也さん」

早苗さんが話を引き継いだ。





68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:18:39.82


早苗「渚は、もう一年、三年生をやることになるかもしれないです」

朋也「え…」

朋也「それは…卒業できないって…ことですか…」

早苗「はい、このままだと」

俺はそこまで頭が回っていなかった。
ただ、本当に回復するのを待ち続けていただけなのだ。
今更自分を馬鹿だと思った。

朋也「………」

早苗「先生は中退して、療養に専念すべきじゃないかと、言ってくれました」

早苗「学業がすべてじゃないですから」

早苗「わたしたちも、学歴になんてこだわりません」

早苗「すべてはあの子の意志に任せたいと思います」

早苗「だからもし、あの子が卒業できなくても…」

早苗「そこでどんな選択をしようとも…」

早苗「朋也さんは、受け入れてあげてくださいね」

朋也「………」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:19:24.63


朋也「嫌だ…」

早苗「え…?」

朋也「嫌だって言ったんです」

朋也「俺はあいつと卒業したい。それ以外は嫌なんです」

秋生「わがまま言うな、馬鹿」

秋生「てめぇなんかより、本人のほうがよっぽど辛ぇんだ」

早苗「朋也さんの気持ちはよくわかります」

早苗「朋也さんは、この半年、ずっと渚のそばに居てくれた人です」

早苗「とても、深い絆が生まれたんだと思います」

早苗「だから、一緒に卒業できないこと、その辛さはよくわかります」

秋生「てめぇ、だから、本人のほうが辛ぇって言ってんだろ、馬鹿」

早苗「いえ、秋生さん。同じぐらい辛いんだと思いますよ」

秋生「ちっ、なら一緒にダブっちまえ、馬鹿」

早苗「秋生さん、まだ渚は卒業できないと決まったわけではないですよ」

秋生「ああ、そうだな。わりぃ」


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:20:09.89


早苗「朋也さん。まだいいです。でも、ゆっくりでもいいですから、考えていってください」

早苗「そんな日が来るかもしれない、ということを」

朋也「………」

わかっている。目の前のふたりは、渚にとって最高の両親だ。
そのふたりが、間違ったことを考えるはずがない。
俺ひとりが子供なんだ。
だったら、今は素直に返事をするしかなかった。

朋也「…はい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

11月になると、突然肌寒くなった。
俺は風をこじらせ、それを移すまいと、しばらく渚に会わないようにした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

12月もあっという間に過ぎ去ろうとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――坂の下

けど、クリスマスだけは…と、忙しく過ぎる時間の中で、俺は足を止めていた。
恋人同士には、特別な日だ。
そして、俺には、その恋人…渚の誕生日でもあった。
とてもとても大切な日だ。
こんな日だけは、どうかゆっくりと、時間が流れてほしい。


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:21:07.83


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――渚自室

渚の部屋で、ささやかなパーティーをした。
俺、渚、早苗さん、オッサンに加え、演劇部のメンバーや、SOS団、それに、軽音部の連中と一緒に宮沢まで来てくれた。
早苗さんが作ってくれたケーキは、十九本のろうそくともみの木が立ち並ぶ、クリスマスケーキとバースデイケーキを兼ねたものだった。
その火を渚が吹いて消した。
渚は一口だけ食べて、残りをみんなで食べた。
その後、各自持ち寄ったプレゼントを渚に渡す。軽音部の連中は、新曲を披露してくれた。
時を刻む唄、という曲名らしい。まだ未完らしく、曲の長さが1分半程度だったが、いい曲に思えた。
聞いていたみんなも、同意見のようだった。
俺はというと、おもちゃ屋を何件も回って見つけだした、だんご大家族の大きなぬいぐるみを渚にプレゼントした。
喜んだ後、渚は、みんなに返すものがないと言って、落ち込んだ。
でも、早苗さんがだんご大家族の歌を歌いだすと、渚も笑顔で歌い出した。
いつしかみんなで、だんご大家族の歌を合唱していた。
渚は本当に楽しそうに歌っていた。
歌い終わった後、渚はみんなに礼を言って…
そして泣いた。

渚「ありがとうございます、みなさん…」

渚「こんなわたしのために…」

秋生「こんな、じゃねぇ。渚、てめぇは俺たちの大事な家族なんだよ」

秋生「おまえが幸せになれば、俺たちも幸せになれらぁ」

秋生「だから、幸せになれ、渚」

秋生「誰よりもな」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:22:30.77


渚「はい、がんばります」

涙を拭いて、頷いた。

秋生「よしっ」

その数時間前には…

渚の留年が決定していたのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1月、2月も療養に費やした。
体を動かさなければ、平熱を保てる状態にまで落ち着いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――渚自室

ふたりで、窓から初雪も見た。
風邪を引かないようにと、その体を後ろから抱きながら。
小さくて弱い存在。
それでも、頑張り続ける存在。
ずっと、守っていきたいと思った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――校門

3月。
まだ冷たい風が吹く日。
卒業式が行われた。





77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:24:17.38


朋也「なあ、春原」

春原「あん?」

朋也「今から、窓ガラスをふたりで割って回らないか」

声「なにを物騒なこと言ってるんだ、岡崎」

朋也「キョン…」

キョン「なんだ? 俺だけのけ者にして、悪だくみ中か?」

朋也「いや、おまえはせっかく、涼宮と同じいい大学に受かったから、悪いと思ってな」

春原「つーか、なんでそんなことすんだよ」

朋也「いや、そうすれば、留年するかなって、さ」

春原「留年じゃなくて、退学な」

朋也「そっか…だったら意味ねぇな」

キョン(古河さんのことを考えて…だろうな…)

春原「……?」

その日、俺は卒業した。
大切なものを、残したままで。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――古河パン前


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:25:01.81


渚「卒業おめでとうございます」

表で、渚が待っていた。
初めてデートした時のお気に入りの服を着て。

朋也「馬鹿、こんな風が冷たい日にでるんじゃねぇよ」

渚「本当は、校門まで行きたかったです」

朋也「体力つけてからにしてくれ」

渚「見たかったんです、どうしても」

渚「朋也くんの…最後の学生服姿」

朋也「………」

朋也「そっか…」

朋也「そうだよな…」

朋也「なぁ、渚…」

渚「はい」

朋也「俺、卒業しちまった」

朋也「二度と、あの学校には戻れなくなったんだ」

朋也「二度と、叶えられなくなったんだ」


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:25:37.20


昔の幸村じーさんを見たい



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:25:46.77


朋也「手をつないでさ…校内を歩くこと」

朋也「他にもさ、いっぱいやりたいことあったんだ」

朋也「春だけじゃなくて、夏も、秋も、冬もさ…」

朋也「どんな時もさ、おまえとふたりで過ごしたかったんだ」

朋也「おまえとの思い出、たくさん作りたかったんだ」

朋也「学校なんて、大嫌いだったけどさ…」

朋也「おまえとなら、いつまでだって過ごしていたいと思ったんだ」

朋也「そんなこと思うなんてさ…思わなかった」

朋也「ずっと腐ったような学生生活を続けてきて…」

朋也「それでも、おまえと過ごした一ヶ月だけはさ…」

朋也「…楽しかったんだ」

なぜだか、視界が揺らいで…仕方がなかった。
俺は顔を伏せた。

朋也「幸せだったんだ…」

朋也「ずっと過ごしていたい…」

朋也「おまえと、あの大嫌いな学校でずっと過ごしていたい…」


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:26:37.45


堪えきれず、涙が頬を伝い始めた。

朋也「な、渚…」

朋也「俺は…そうしたかったんだ…」

朋也「そう…」

涙声になって…聞き取れないような声で…俺は喋り続けた。

朋也「なのに…」

朋也「俺はもう…」

もう…

朋也「………」

…言葉が出なかった。
代わりに涙が、とめどなくあふれ出た。
ぽたぽたと地面に落ち続けていた。
子供のように、俺は泣き続けた。

渚「朋也くん」

朋也「………」

渚「朋也くん」


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:27:22.08


朋也「なんだよ…」

渚「手をつないでもいいですか」

朋也「なんでだよ…」

渚「歩きたいです」

渚「朋也くんと、手をつないで歩きたいです」

朋也「やめとけよ…また熱…ぶり返すぞ…」

渚「大丈夫です。ちょっとだけです」

渚「いいですか」

朋也「………」

朋也「…好きにしろよ」

渚「はい。好きにします」

俺の手より冷たい手。
それが俺の手をぐっと握った。

渚「歩きましょう、朋也くん」

俺の泣きぬれた顔を笑いもせずに…穏やかな顔で、そう渚は言った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:30:17.91


俺たちは歩いた。
春の光の中を。
ゆっくりと、ゆっくりと。
ずっと手をつないで。
渚の小さな手が、愛おしくて…仕方がなかった。
渚が、好きで好きで、仕方がなかった。
俺は…立ち止まってしまった。

朋也「俺もやっぱり… 留年するべきだったんだ…」

渚「違います、朋也くん」

渚「そんなことで足を止めたらダメです」

渚「がんばれるなら、がんばるべきなんです」

渚「進めるなら、前に進むべきなんです」

渚「朋也くんは、進んでください」

朋也「………」





87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:32:45.34


朋也「…渚は、強くなったな」

渚「はい」

渚「だから、わたしは…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

渚「もう一年がんばります」

朋也「そうか…」

朋也「そう決めたのか、渚は」

渚「はい。決めました」

俺のいない学校で渚は大丈夫だろうか。
さらなるハンデを背負って。
また、あの坂の下で、立ち止まってしまわないだろうか。
俺がその背を押してやらなくて大丈夫だろうか。
登っていけるだろうか。
歩いていけるだろうか。

………。


89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:33:58.79


………。

でも、ずっと頑張り続けて…。
そして、最後にはやり遂げたこいつだったから…
きっと、登っていける…
その先へ、歩いていける。

朋也「渚」

俺はその細い肩を抱きしめた。

朋也「俺、ずっと待ってるから…」

そして、

朋也「頑張れ…」

励ました。

渚「はい、がんばります」

今度は立ち止まることなく…歩きたかった。
どこまでも、どこまでも。
ずっと続く、坂道でも…





92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:35:27.08


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ふたりで。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 01:40:05.23


おつ



108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 03:00:27.25


3日間乙



116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/13(火) 08:48:33.49







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