_SL160_
澪「悪いな唯、この曲は3人用なんだ」 唯「たすけてウイえも~ん」


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:35:31.55 ID:hVjrfv0NP
 ~平沢家~

憂「今度やる曲はギターいらないから、3人で十分って?」

唯「澪ちゃんとりっちゃんがそう言うんだよ~」シクシク

憂「ギターがなくても……お姉ちゃんがボーカルをすれば、4人全員が参加できるんじゃない?」

唯「私の歌は下手クソだから、澪ちゃんが歌うべきって…そう言うんだよぉ」

唯「このままバンドができないなら、私はもう、生きている価値がないよ~」ウエーン

唯「憂~ 秘密道具で助けてぇ~」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:41:48.75 ID:hVjrfv0NP
憂「うーん、お姉ちゃんが澪さんよりもいい歌を歌えれば
  お姉ちゃんがボーカルしても誰も文句言わないよね?」

 ゴソゴソ

憂「ジーンマイク~」テレレレッレレー

 憂はポケットからマイクのような物を出した。

憂「これを使うといいよ!」

唯「なーにそれ? 歌がうまくなる道具?」

憂「このマイクを通してしゃべると、感動周波音波っていうのが出て、聞く人をジーンとさせるの」

憂「このマイクを使って歌えば、誰よりも感動的な歌が歌えるのよ」




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:43:24.94 ID:EqXuo5jrO
憂かわいい




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:46:32.66 ID:hVjrfv0NP
唯「すごいすごい! ちょっと使わせて!」

唯「えーっと…」

唯(なんて言おうかな?)

憂「ッ……!!」じーん


憂「お、お姉ちゃん! 今なんて言った!?」

唯「え?今? えーっとって…」

憂「な、なんて感動的な言葉! 私、ジーンとしちゃった」ホロホロ

唯「すごい効き目…!」

唯「よーし、部室に行ってくるよ!」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:52:20.53 ID:hVjrfv0NP
 ~ぶしつ~

澪「なに? 歌で私たちを感動させるって? 唯が?
  アハハ、そりゃ傑作だ!」

律「もう、澪がボーカルで決まったんだ。 今さら唯の歌なんて、きいてもしょうがないっての」

唯「おねがいだよぉ、一度だけで良いから……」

律「お前の下手クソな歌は聞き飽きたんだよ! 帰れ帰れ」

唯「そんなぁ~」

紬「まぁまぁ、こんなに頼んでいるんだし……聞いてあげましょうよ。私からもお願いするわ」

律「まぁ、ムギがいうなら……」

唯「やったぁ! やっぱりムギちゃんは優しいなあ」

澪「いいか、一回だけだぞ?」

律「もし下手クソな歌だったら、ぶっとばすからな!!」

唯「大丈夫大丈夫! 期待しちゃっていいよー」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 17:58:26.21 ID:hVjrfv0NP
唯(このジーンマイクを使えば、私だって……)

紬「あら? 唯ちゃん、マイマイクなんて持っていたの?」

唯「ま、まあね!」

澪「ふん、下手クソが一丁前に、マイマイクなんて持っちゃって」

律「始めるぞー。ワン、ツー、ワン ツー スリー フォー」

 ♪ ♪~ イントロ中

唯(でも、…本当にこれで大丈夫なのかな? ちょっと不安になってきた…)

唯(そろそろだ…… もう、やるしかない…!)

 唯は大きく息を吸い込こんだ。




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:02:19.43 ID:hVjrfv0NP
唯「げぷーっ!!」

 突然、唯の大きなゲップの音が部室に響いた。

澪律紬「!?」

唯「うげ……けほっ けほっ」

 気負って息を吸い込みすぎた唯は、咽せてしまったのだった。

律「唯……お前…」

唯「ひっ」タジ

唯(あわわわわ こ、殺される)

律「なんて感動的なゲップなんだ!!」

唯「…ほえ?」

紬「私、感動して涙がでちゃったわ」

澪「すごいな唯!」

律「みんなで唯を胴上げしようぜ!!」


唯「えええええええええええええええええええ」

 第一話 おしまい。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:37:26.24 ID:hVjrfv0NP
第二話!
 ~平沢家~
唯「うー… 寒いよ寒いよ」

唯「冬は寒いから嫌い。早く夏にならないかなー」

憂「お姉ちゃんったら。夏のときは、早く冬になって欲しいって言っていたじゃない。
  夏は暑いから嫌いだって」

唯「そんなこと言ったっけかなぁ?」

憂「いってたよー」

憂「お風呂にでも入ったらどう? あったまるよ!」

唯「入りたいけど…コタツから動けない~」

憂「もう、お姉ちゃんったら」

 今日はとても寒い日だった。

律『おーい、唯ー、遊びに行こうぜ! いつもの空き地で!』

 家の外から、律が遊びに誘う声が聞こえてきた。

唯「うえ~? こんなに寒いのに…?」

唯(ん、あれは…?)

唯「……そうだ!」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:41:51.24 ID:hVjrfv0NP
 ~平沢家・玄関口~

唯「おまたせ~」

 玄関を出ると、外には律と澪と紬が立っていたのが見えた。

唯「いやぁ、またせてごめんねぇ」

律「唯!? いったい、なんて格好してるのよ?」

 律が、すかさず唯の格好に突っ込みを入れてきた。

唯「えへへ、だって、外は寒いしぃ?」

 唯はスキーウェアを着込んでいた。




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:47:55.20 ID:hVjrfv0NP
澪「そんな格好じゃあ不審者だろ」

紬「唯ちゃんって寒がりなのね」

律「私なんて、この服の下はシャツ一枚だけだぜ?」

 体育用のジャージを着た律が、揚々と言った。

澪「私なんか、シャツも着てないぞ」

律「澪は脂肪をたっぷり着込んでいるからな」ボソ

澪「なんか言ったか?」

律「な、なにも言ってないよ!」




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:52:30.72 ID:hVjrfv0NP
 ~平沢家~

唯「憂~ 服着なくても寒くならない道具だして~」

憂「どうしたのお姉ちゃん!? スキーウェアなんて着て」

 ・
 ・
 ・

憂「ふんふん、そういうことね」

憂「よーし、それなら……」

 ゴソゴソ

憂「あべこべクリーム~」テレレレッレレー

 憂はポケットから、小ビンを取り出した。




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 18:56:35.05 ID:hVjrfv0NP
憂「このクリームを体にぬってみて」

 言われたとおりにクリームを体にぬってみた。

唯「あれえっ、なんだか暖かくなってきた」

憂「ふふふ、コタツに入ってみて」

唯「!? 冷たい! コタツがまるで、冷蔵庫みたい」

憂「このクリームをぬると、熱い物にさわると冷たく感じるの。そして、寒いときは暖かく感じるのよ」

唯「すごいや!」

唯「よーし、これでみんなをあっと言わせよう!!」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:00:20.68 ID:hVjrfv0NP
 ~外~

唯「通行人の視線が痛いよぉ」

憂「心配しないで。お姉ちゃん、とってもかわいいから大丈夫だよ!」

唯「えへへ、そうかな?」

憂「うんうん」

 唯は水着一丁の格好で町を歩いていた。
 あべこべクリームのおかげで全く寒くはないが、冷たい北風が吹き渡るこの季節には、何とも場違いな格好だった。
 通行人の視線を感じる。

 そうこうしているうちに、空き地に着いた。
 
 奥にある三本の土管以外は何もない、ただの空き地。
 そこで、律と澪と紬が元気に駆け回っていた。




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:12:52.66 ID:hVjrfv0NP
唯「やあやあみんな、こんな暑いのに、よくそんな厚着でいられるなあ」

律澪紬「!?」

 水着一丁の唯をみて、三人とも驚きの声を上げた。

紬「ほんとうに寒くないの?」

律「や、やせがまんだろ?」

澪「おかしくなったんだ!」


唯「この程度、全然へっちゃらだよ」

唯「君たちは寒がりなんだねえ」

律「なにぃ!? 私たちも脱ぐぞ!」ぬぎぬぎ

紬「りょうかい♪」ぬぎぬぎ

澪「あ、私はシャツ着てないしパスで……」

律「いいから脱ぎなさい」

澪「ちょ、やめ…うわあぁぁっ!!」




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:16:53.17 ID:hVjrfv0NP
 3人とも下着姿になった。

紬「さ、寒い!」

律「唯が我慢出来てるんだ。私だって……!」

澪「律ー、服を返してくれー」

憂「3人とも、無理したら風邪ひいちゃいますよ?」

 ・
 ・
 ・

 結局、3人とも元通り服を着込んだ。

律「くそー、唯が出来て私が出来ないなんて……」

澪「もうお嫁いけない…」シクシク


紬「唯ちゃんは、どうして平気なの?」

唯「それはだね…普段から体を鍛えて、食べ物も好き嫌いなく……」ペラペラ

憂「もう、お姉ちゃんったら」クスクス




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:22:52.87 ID:hVjrfv0NP

 パラリ……ハラリ……

紬「あら、雪だわ」

唯「ほんとだ。きれい」

 雪が降り出していた。ぼたん雪だ。

 もう初雪か。そろそろ今年も終わりなんだな。
 唯はしんみりとそんなことを思いながら、目の前の大粒の雪を、そっと手のひらで受け止めた。

 ジュウ!

唯「ジュウ?」

唯「ッ!! 熱い! 雪が熱い!」

 あべこべクリームのせいで、大粒の雪は焼けた鉄の様に熱かった。
 それが、水着姿の唯の全身に降り注ぐ。

唯「あちっ あちっ  やけどするう!!」バタバタ

憂「お姉ちゃんがたいへんだ! どうしようどうしよう」オロオロ

律澪紬「???」

 状況がわからず、困惑する3人だった。




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:27:28.75 ID:hVjrfv0NP
紬「いったいどうしたのかしら?」

澪「さあ?」

律「熱がっているから、水で冷やそうぜ」

律「それっ!」バッシャー!!

 律はバケツ一杯の水を唯にぶっかけた。

唯「ぎゃあああああああああああああああ」

唯「熱い!! 死んじゃう!!」

憂「やめて!! お姉ちゃんがゆでだこになっちゃう!!」

律「?? 氷の様に冷たい水なのに…」




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:34:43.28 ID:hVjrfv0NP
唯「熱いよー熱いよー」

憂「あべこべクリームを塗っているから、体を冷やすには暖かいお湯につからなきゃ」

 ~平沢家~

憂「お風呂に入って体を冷やそう」

唯「たすかったー」

憂「あ、しまった! お風呂、沸かしっぱなしにしちゃった」

 風呂の中の湯は、鍋のようにグツグツと煮だっていた。

憂「うすめなきゃ…」

唯「熱いほういい!!」バシャーン!

唯「ッ!?」

 カチーン

憂「お、お姉ちゃん!!」


憂「お姉ちゃんが…こおっちゃった!!」

 第二話 おしまい。




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 19:43:10.06 ID:kMdWK0IEO
原作のセリフほとんどそのままだなスゲェ




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:26:28.28 ID:hVjrfv0NP
 第一話(>>19)の続きです。



 歌が下手なせいで、軽音部からハブられた平沢唯。
 憂から貰った秘密道具『ジーンマイク』を手に、意気揚々と部室へと向かったが……

 ~平沢家~

憂「あら、お姉ちゃん。早かったわね。どう、うまくいった?」

唯「…ぐす 憂いいいいいい!!!」ウワーン

憂「お姉ちゃん!? なにがあったの!?」




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:31:10.27 ID:hVjrfv0NP
 たしかに、ジーンマイクの効果は素晴らしかった。
 唯が一言声を出すたびに、皆感涙し、胴上げされるほどだった。

 しかし、一つ問題があった。

律『もう、歌うな』

 胴上げの最中に、突然言われた。

唯『へ?』

律『たしかに、歌はいいけど……唯が歌い出すたびに演奏が止まってしまっているじゃないか
  これじゃ、バンドにならないぜ』

 十回目の胴上げのときだった。




47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:37:58.92 ID:hVjrfv0NP
  ※

憂「うーん……ジーンマイクは極端だからねぇ」

唯「憂~ なんとかしてよぉ~」

憂「うーん……あ、もしかして…あれを使えば……」ゴソゴソ

唯「ひょっとして、何回でも胴上げしてもらえる道具とか?」ワクワク

憂「そっち!? ……胴上げはされないけど、上手に歌が歌える道具よ♪」

唯「そんなすごい道具があったの? 出して出して!」

憂「ちょっと待ってて。したくしてくるから」

 憂は部屋の外へ出て行った。

唯(はじめっからそっちを出してほしかったなぁ)

唯「……」

唯「まだー?」

憂『もうちょっとー』




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:44:22.53 ID:hVjrfv0NP
憂「おまたせー」

唯「おそかったね」

憂「ふふ、では、いきまーす」

憂「あんなこっといいな♪ できたらいいな♪」

 聞こえてくる歌声は、いつもの憂の声とは全く違った。
 まるでそよ風のようにさわやかな歌声を、唯は夢中で聞き入った。

唯「う、うまい! まるで、そよ風みたいにさわやかな声だね!」

憂「実はね、この道具を使ったの」

憂「音楽いも~」テレレレッレレー

唯「わあ! おいしそう!」

 憂が取り出した『音楽いも』は、近所のスーパーに売っていても違和感のないくらいの、ごく普通の焼き芋に見えた。

憂「ただの芋じゃないのよ。この音楽いもを食べると、10分たつとガスがたまって……」

唯「ちょ、ちょっと待って……じゃあ、さっきの歌はおなら……」

憂「まあ、お姉ちゃんったら下品。メロディーガスって言ってよー」

唯「みんなの前でおならをするなんて……そんな恥ずかしいことできないよお」///

憂「そんなこと言っても……他に方法はないよ」




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:51:23.55 ID:hVjrfv0NP
 結局、みんなの前でメロディーガスを披露する事にした。

 ~ぶしつ~

澪「なんだよ、唯。またジャマしに来たのか?」

唯「歌いに来たんだよお。もう一回、私に歌わせてよ!」

澪「もうさっき歌っただろ」

唯「さっきとはちがうの。今の私は、そよかぜのようにさわやかなうたごえで……」

澪「なにを言っているんだ…?」

律「つーか、もう今日の練習は終わりだぞ。みんな、片付けた後だし」

 軽音部のみんなは、机に座ってお茶を飲んでいた。

唯「そんなぁ~」

紬「唯ちゃんも一緒にお茶しようよ」

唯「気持ちはありがたいけど……それよりも歌を……」

紬「今日のお菓子はモンブランよ♪」

唯「もらいます!」




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 20:57:34.58 ID:hVjrfv0NP
 ・
 ・
 ・

律「そろそろ帰ろうぜー」

澪「もうこんな時間か」

唯「やっぱり、ムギちゃんのお茶は最高だよ!」

紬「喜んでもらってなによりよ♪」

 みんなと一緒に部室から出ようとするが……

唯(あれ、私が部室にきた理由って……)

唯「待って待って! ちょっと待って!」

律「どしたんだ? いきなりデカイ声でして」

唯「まだ歌っていないよ! ここには歌を聞いてもらいにきたのに」

澪「まだ言ってるのか……いいかげんにしろよ」

唯「今回は、ぜったいに上手くいくから! 首を賭けてもいい!」

律「ほう、おもしろい。やってもらおうじゃないか。もしへぼい歌だったりしたら、本当に首をもらうからな!」




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:07:12.02 ID:hVjrfv0NP
紬「唯ちゃん、あんなこと言っちゃって本当に大丈夫なの?」ヒソヒソ

 澪と律がせっせと演奏準備を進めている中、紬が浮かない顔で話しかけてきた。

紬「首を賭けるなんて……だいじょうぶなの?」

 いつもニコニコしている紬だが、今目の前にいる彼女の顔に、笑みはなかった。

唯「うーん…ちょっと言いすぎだったかな」

 さっきはつい勢いで、首を賭けるなんて言ってしまった。
 さすがに言い過ぎだと思うが、今さら後悔してももう遅い。

唯「でもまぁ、なるようになるって! アハハ」

紬「…唯ちゃんが死んじゃったら…私…私…」

唯(もしかして…ムギちゃんは首を賭けるって言葉を本気にして……)




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:15:52.61 ID:hVjrfv0NP
唯「やだなぁ。首を賭けるなんて言っちゃったけど、さすがに本当に死ぬ気はないよ!
  それに、いくらりっちゃんでも、本当に首を取ったりするわけないじゃない」

紬「そ、そうよね。本当に死ぬわけないよね」

紬「変なこと言ってごめんね。唯ちゃんが死ぬなんて思ったら、気が動転しちゃって、それで……」

唯「大丈夫だよ。実はね、秘策があるんだ! 絶対うまくいくよ」

 実際は、うまくいくかは不安だったが、自信たっぷりに言い放った。

唯「だから…ムギちゃんは何も心配することないよ!」

紬「ありがとね」

紬「…唯ちゃんは優しいね」




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:24:09.51 ID:hVjrfv0NP
唯「えへへ、そうかな? でも、ムギちゃんもとっても優しいよ!」

紬「ふふふ、そうかしら?」

 紬は軽く笑うと、こちらに一歩近づいた。

紬「あのね、唯ちゃん」

唯「は、はい!?」

唯(顔がちかいよ!!)

紬「あのね…ずっと言おうと思っていたんだけど……私ね……」

唯「な、なんでしょうか!?」

 しどろもどろに話す紬の顔は、真っ赤に染まっていた。
 こんな様子の紬を見たのは初めてだった。

紬「唯ちゃんのことが……えーっと……」

唯「ム、ムギちゃん?」

紬「ご、ごめんね。つまり……私は……えっと…」




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:32:08.28 ID:hVjrfv0NP

  ボーーーン!!

 とうとつに、部室中に低音がひびいた。

唯紬「!?」

 唯と紬は、突然のことにビクっと飛び上がった。

律「なんか、チューニングずれてねーか?」

澪「みたいだなー…一度ケースにしまったからペグがずれたか?」

 そういい、澪はベースのチューニングを合わせ始めた。
 澪たちは、こちらの様子には気づいていないようだ。

紬「あっ、いけない。私もキーボードの用意しなきゃ」

 唯も、まだ『音楽いも』を食べていないことに気づいた。

唯「私も、支度しなくちゃいけないんだった!」

紬「続きは終わったあとに言うから……今度は、ちゃんと最後まで言えるようにガンバルわ!」

 しかし、その機会が訪れることは二度となかった。




62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:38:05.65 ID:hVjrfv0NP
 ~部室の外・廊下~

 目の前にある『音楽いも』を目にした唯の感想は、「おいしそう」だった。

唯「でも、2、3口しか食べちゃダメなんだよねぇ」


    *      *      *

憂『2、3口食べれば十分だからね。…食べ過ぎちゃダメよ?』

唯『はーい』

    *      *      *


唯「でも…2、3口って、2口なのかな? 3口なのかな? どっちなんだろ?」

唯「まあ、3口でいいよね! うん!」




64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:42:49.10 ID:hVjrfv0NP
唯「一口目~」

 口を限界まで大きく開け、芋にかぶりつく。

唯「んぐぐう!(おいしい!)」

 口いっぱいにほおばりながら、手に持った『音楽いも』を見てみる。
 大きさが先ほどの三分の二になっていた。一口で三分の一を食べたことになる。

唯(あれ、もしかして……)

 二口目で三分の一になった。
 そして三口目。『音楽いも』はきれいさっぱりなくなった。

唯(全部食べれた! 私って天才かも…!)モグモグ

憂「お、お姉ちゃん!? まさか全部食べたの!?」

唯「んぐ!? …ゴクン……びっくりしたあ。なんで、憂がここにいるの?」

憂「遅いから、様子を見に来たのよ」

憂「それより…2、3口食べれば十分って、いったじゃない。全部食べるなんて……」

唯「失敬な。私は、たったの3口しか食べてないのだぞ?」

憂「そういう問題じゃないのよ… そんなにいっぱい食べたら、メロディーどころか……
  ガス爆発を起こしちゃうよ!」

唯「ええええええええ~~~~~っ!?」




66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:49:11.60 ID:hVjrfv0NP
憂「とにかく、お家に帰ろう」

 そそくさと退散する唯と憂。

澪「唯が逃げようとしているぞ!」

律「いつの間にかいなくなったと思ったら……
  ここまできて、怖じ気づいて逃げるなんてなしだぜ?」

唯「今はまずいんだよお。かんべんしてよお」

 唯の必死の訴えもむなしく、律はむりやり、唯を部室に引きずりこんだ。

唯「ああ、そろそろガスが……」ブスッ ブスッ

律「始めるぞー」

   ♪ ♪~ イントロ中

憂「しかたないから……できるだけ我慢して、ガスを小出しにするしかないわ」

 憂がそっとささやいてきた。

 たしかに、もうそれしかない。

紬「唯ちゃん? どうしてお尻にマイクをあてているの?」

唯「いやぁ……ちょっとね」




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 21:57:41.02 ID:hVjrfv0NP
唯「こんなこっといいな♪ できたらいいな♪」

紬「きれいな歌声…」

唯「みんなみんな…ブボッ  かなえて…ビビッ ビビッ」

澪「なんか雑音がはいるな」

憂「ダメよ! もっとボリュームをしぼって!」

律「なんか、におわないか?」

唯「そらをじゆうに…ブブッブボボボ!!!」

憂「元栓しめて!」

唯「もうダメ限界!!」




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 22:01:51.98 ID:hVjrfv0NP
 唯は慌てて部室の出口へと駆けるが……

澪「あっ、また逃げるぞ」

律「待たんかい!」

 逃げる唯を取り押さえようと、律は飛びかかってきた。

唯「ッ!?」

 バボン!!!!

唯「わああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」ブボボボボボボボボボ………

 窓を突き破り、尻からガスを吹き出しなからどこまでも飛んでいった唯は
 そのまま夜空のお星様になりました。




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/11(土) 22:05:55.78 ID:hVjrfv0NP
 ………………………………

 ……………………

 …………

 …

梓「どうしました? さっきから空を見上げて」

紬「星を見ているの。今夜は星がきれいだと思って」

 夜空を見上げたまま、紬が言った。
 梓も空を見上げてみる。雲一つない夜空には満点の星が浮かんでいた。

 その中に、とびきり強く輝く星があった。




      おしまい。




84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/12(日) 00:39:00.76 ID:9fb7GjjUO